12/1(土)JIA福井地域会主催の内藤 廣さんの講演会に参加しました。
午後から講演会だったのですが、午前中に内藤廣さん設計の福井県若狭の年縞博物館を見学し講演会に臨みました。
私自身福井県出身なのですが、年縞と聞いてもなんのことかわかりませんでした。
博物館で説明を聞いたところ年縞とは、三方五湖のひとつ水月湖で採取できる木の葉や花粉、火山灰などの堆積物のことだそうで、水月湖から採取できる年縞は、7万年前のものにさかのぼってその時代の環境を知ることが可能とのことでした。これは世界的に見ても非常に珍しいそうです。
また、年縞は1年に0.7mmづつ堆積し縞々模様が作られ、この縞々が時代を遡る一種のスケールとして用いられ世界標準として認定を受けています。
博物館と聞いて想像するのは、コンクリートの格式高い建物だったのですが、年縞博物館は切妻屋根の非常にシンプルな形状をした建物でした。アプローチを進むとコンクリートの柱と梁のピロティ空間でした。他の建物と異なるのは、コンクリート表面が4~5センチのピッチで木材の表面のように縦じま模様がきれいに入っていたことです。この縞模様が年縞の縞模様とリンクして建物全体のデザインとして統一されたものになっていました。午後の講演会で内藤さんが日本一のコンクリートができたと仰っていましたが、本当に精度の高い美しいコンクリートだと感じました。
内部は、鉄と木の混構造でしたが鉄骨の重たいイメージはまったくなくトラスの梁が軽やかな空間を見せていました。年縞の展示は、歩くごとに年縞の古いものになるような展示がされており、アクリル板に挟み込まれた年縞を裏から照明を当てて美しい見せ方をしていました。
午後の講演会では、この年縞博物館計画の話をメインに現在の社会情勢から裏日本の北陸3県の特色まで様々なお話がありました。中でも講演会の最後に内藤さんが仰った「燃えているのか」という言葉がとても印象的でした。建築を目指す学生に向けてこの言葉を投げかけていたのですが、自分に言われたような気がしてはっとさせられました。
日々の仕事に追われ初心を忘れがちになりますが、建築をやりたいと思った初めの熱い想いや自分の夢をもう一度考えさせられました。
今回「年縞博物館」と講演会を1日で体験できたのは、自分の中で非常に勉強になりました。この学びを実務に生かしてがんばります。(M,Y)