金沢市押野公民館
用途    :公民館・児童館・市役所出張所
場所    :金沢市八日市
延面積   :1,047.08m2
構造    :RC造2階建
竣工     :H 6.3
受賞歴   :
金沢都市美文化賞
「リトルトリガー」 1994.5月号掲載
 押野校下はかつては田園地帯で、押野村と呼ばれた時代もあったが、近年は宅地化が進み、昔の面影が徐々に消えている。切妻屋根を見せる2槽の「蔵」をモチーフとし、その蔵を繋ぐ形で構成されたバルコニーは雪国特有の「雁木」の役目をする。漆喰風の白壁と黒瓦のコントラスト、そして何十年もこの地を見続けてきた「しいの木」、これらは古き押野地区の田園風景を彷彿とさせてくれるのである。
プランナーは施設(ハード)を造るだけでなく、地域の歴史的文脈を踏まえた形態(ソフト)を考えなければならない。この建物では「蔵」、「雁木」という形態を新しいデザインに置き換えることで町並みを残し、「しいの木」を守ることが歴史遺産を継承し地域のアイデンティティーを育むことになる。地域社会のなかで我々がデザインを通して果たす役割は常に重要である。